主催者 ヒマラヤ圏サパナをご紹介します。
HPはこちらです。http://www.sapana.de/
●設立のきっかけ
ネパールとの出会いの中で、日本を含めた海外援助がネパールに大きな害を及ぼしていることを知りました。それは、相手国の価値観などを理解しないまま行う援助も原因のひとつと思われました。民族、宗教の面でも、重層的で複雑な様相を見せるネパールと日本の間には、50~60年以上もの時差があります。経済援助をしなければならない国という見方の前に、その異文化をより理解する場を創るため、2002年にサパナを設立しました。
(くわしくはこちら)
●事業
1.民族芸術
民族の価値観、風俗などが凝縮された音楽、絵画などを通して異文化を紹介します。
・チベット民謡コンサート
・ネパール音楽舞踊公演/絵画交流プログラム
2.ヒマラヤ圏スタディツアー
ホームステイで人々の日常に触れながら現地の自然、風習を学びます。
3.講座
現地をより深く理解するため、映像を多様した講座、講演を行います。
・ヒマラヤ圏講座:ネパール、チベットの地理、歴史、民族、信仰
・星野道夫と見た風景:大きな自然と時間の流れを見ていた星野道夫の視点
・語学講座、ネパール・チベット情勢講演会など
星野直子さんの講演を開催したきっかけ、そして伝えたいことなどを書きつづります。
●きっかけ
サパナでは、2002年~2006年はネパール、チベットの異文化紹介事業を行ってきました。2004年、ネパールに関わっている報道関係の方の講演会を行いました。その方が生前の星野道夫さんと親交あったことから、星野直子さんを紹介いただき、2007年に初めて講演を行いました。
●星野道夫の世界を伝えること
私(ヒマラヤ圏サパナ:三浦)が星野道夫さんの著作に触れたのは06年です。主要な著作を読んでみて、印象に残ったのは次のようなことでした。(著作そのものではありません。記憶を再構成したものです)
『際めて大きなアラスカの自然の中では生物、人間の存在はとても小さいものです。人間が文化という形で残してきた痕跡もわずかしかありません。しかし、そこではカリブー、クマ、鯨などが太古の昔からあるがままに、いのちの循環を続けています。先住民たちはその循環の一部として 生き続けてきました。そこでは動物と人間の境目すら確かではありません。』
星野道夫の未完遺作は「森と氷河と鯨」です。アラスカの大自然の循環を見つめ続けた星野道夫は、無機物と有機物の境界すらも、大いなる循環の中では区別の付くものではないと考えました。森も氷河も鯨も同じもの、と考えたのです。十数年の時間をかけて見つめ続けたからこそ、観えたものなのでしょう。
彼のこの視点に立つと、人、動物、山、海、空などを別々なものとして捉え、かつ人類を頂点に据えた環境保全という考え方の限界を感じます。
サパナがそれまで紹介してきたのは、ブッダがネパールで生まれた2500年前からのヒマラヤやチベット高原のことでした。それは日本に比べれば大きな自然と長い歴史です。しかし星野道夫の世界に触れ、それはある意味きわめて人間臭のある部分だと感じました。それは興味深く、大事にされるべきものです。しかし人々の細かな時間の流れとは別な、もうひとつの大きな時の流れを感じ、地球の循環を感じていく視点を持った星野道夫の世界は、より多くの人々に伝えられるべきものと思っています。
●今回2012年の講演
星野道夫の作品の世界はたいへん大きく、広くまた深いものです。
2007年の講演では、道夫さんの一連の代表作を直子さんに解説していただきました。今回は、直子さんが同行した93年から95年の撮影をメインに構成し、道夫さんの撮影に向かう動きなどをお聞きし、彼の撮影視点をよりリアルに感じてもらえるものにしたいと思います。(星野直子さんの構成により、一部変更になる場合があります)
●これまでの講演
●2007年5月
講演:道新ホール
写真展 紀伊国屋書店札幌本店
●2012年6月(予定)
講演:札幌市教育文化会館
トークショー:紀伊国屋書店札幌本店
(他団体で主催した星野直子さんの札幌講演は、2006年『星野道夫展「星のような物語」』大丸札幌店、2010年札幌エルプラザです。どちらもヒマラヤ圏サパナは関わっていません。)