海流
今年3月、クイーンシャーロット島沖やミドルトン島で、東日本大震災の津波で流された漂流船やサッカーボール、バレーボールが発見された。星野道夫は『旅をする木』で、クリンギット・インディアン族の伝承を紹介している。それによると、「…海から流れ着いた異人は姉妹に率いられた二つのグループで、そのひとつはクイーンシャーロット島まで南下し、もう一方はその地に留まり原住民と一緒になった。その人々が現在のハイダ族、クリンギット族の祖先である」ということだ。また、江戸時代、難破して漂流し、アメリカに渡った人々についても書かれていて、古来この海流はたくさんの人々を見知らぬ世界へ運び続けていたのではないか、とも記している。悲惨な大震災の津波による出来事ではあるけれど、星野道夫が見つめていた遥かな古代の海流を思い起こさせるものでもあった。
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